SPI3とTG-WEB(ヒューマネージ)は、どちらも採用選考で使われている適性検査です。
導入しやすいWebテスト形式について、徹底比較します。
能力検査の内容の違い
| SPI3 | TG-WEB | |
|---|---|---|
| 科目内容 | 言語分野: 二語の関係、語句の意味、文の並び替え、長文読解 非言語分野: 座席配置等の推論問題、表を読む問題例が公式に掲載されている |
i9: 言語判断推理(文章の並び替え・要旨把握)/数理判断推理(条件から解を導く・空間把握)、30分。 i9neo: 言語基礎(同義・対義語、語意)/数理基礎(表の読み取り、計算穴埋め)、15分。 i9e: 英語(空欄補充・文書読解)、15分。 C3: 言語考察/数理考察、30分(60分版あり)。 J3: 計算処理・言語理解・論理基礎、30分。 P3: 国語・英語・数学・時事、50分 |
学力テスト形式の能力検査の最大のポイントは、学術研究の進展により仕事の成果の予測力が引き下げられてきたことです。 かつて期待されていた使い方ができないことが分かっています。
近年の研究にもとづくと、総合得点で偏差値35または下位7%水準以下だけを弱いマイナス材料として残すという使い方が適切です。
これは直接不採用を決める点ではなく、かなり低い得点が出たときに、仕事で必要になる理解・処理能力に不足があることに着目する目安です。 たとえば、面接やワークサンプルなどでその仕事への適性をプラスに評価できる材料が確認できなければ、不通過とする判断は妥当です。
SPIもTG-WEBも、能力を数値として返すので、スコアに比例した評価として使いたくなります。 しかし、その数字の大小をそのまま仕事の能力差に置き換えられない、という点が研究成果です。
たとえば偏差値65の応募者を偏差値50の応募者より高く評価するといった、細かな順位づけには使えません。 また、応募者が多いから例年45で切っていた基準を今年は55で切る、といった足切りの調整としても機能しません。 これは、切り捨てた層に仕事で活躍しうる人材が普通に含まれうる、という意味です。
導入するなら、自社応募者の下位を分離できる水準かを確認する必要があります。 難しい課題ほど、学習経験や問題形式への習熟など能力以外のノイズ増の余地が増えるため、難易度を上げなければならない状況なら能力検査の撤廃を優先検討すべきです。
SPIの方が研究モデルに忠実
能力検査じたいを重視する意義は限定されますが、SPIとTG-WEBを比べるなら本来の一般的な能力を測るという目的から考えてSPIの方がまだ整合的です。適性検査は学力テストそのものではありません。
TG-WEBには、i9eやP3のように英語や時事をテストする科目があります。教育歴・学習歴・情報への接触量などの影響が加わるため基礎能力の面ではノイズと捉えられます。
これらは、たとえば英会話を行う業務であれば学力テスト形式ではなく会話ワークサンプル型のテストを導入すべきところです。
性格検査は意味をとりづらい構成
性格検査は、SPIが独自尺度、TG-WEBは流行を意識した独自尺度群です。
| SPI3 | TG-WEB | |
|---|---|---|
| 性格尺度 | 社会的内向性、内省性、身体活動性、持続性、慎重性、達成意欲、活動意欲、敏感性、自責性、気分性、独自性、自信性、高揚性、従順性、回避性、批判性、自己尊重性、懐疑思考性 | B5: 外向性、協調性、誠実性、開放性、情緒安定性 / E9(EQ・感情的知性): 自尊、共感、ソーシャルスキル |
SPIは著名であるため、学者による過去の分析があります。その結果、ラベルの数ほど性格成分は観測できませんでした。そのため職務予測力も低いという指摘があります。ラベルが指したいことはなんとなく分かっても、実際に測っている心理状態の意味がとれる保証がないという示唆です。
TG-WEBは、ビッグファイブが科学標準であるためB5が用途のベースに向いている可能性がありますが、EQと両立はしない点で根本的な矛盾を含みます。後述の非性格製品も含めてヒューマネージ製品の体系は独自尺度を中心に置いています。
TG-WEBの分析のとらえ方の特徴として、コンピテンシーに接続しようとする傾向が一貫しており、それは事例からも分かります。適性検査は仕事の成果予測を説明するためのモデルですが、コンピテンシーを経由する間接モデルはその分説明力が減衰します。
職務予測に使いづらい科目リスト
SPIは性格分析に特化していますが、TG-WEBは性格外の心理尺度を独自測定しています。
| TG-WEBモジュール | 製品分類 | 研究分野 |
|---|---|---|
| G9 | コーピング | コーピング |
| P8 | ハピネス | 主観的ウェルビーイング |
| Q1 | ジョブ・クラフティング | ジョブ・クラフティング |
| A8 | 過去行動ベースのコンピテンシー | コンピテンシー |
| W8 | チーム・コミュニケーション | コンピテンシー |
| U1 | グローバルリーダーシップ | コンピテンシー |
コーピング、ジョブ・クラフティング、ハピネスといった分野には、仕事の成果を予測できるとする研究蓄積はありません。
その他のコンピテンシーについては、位置づけにずれがあります。導入企業の仕事を起点に設計せず一般化している乖離があり、その部分が構造的にネックです。
SPI優位もベストと言い切れない
| SPI3 Webテスティング | TG-WEB | |
|---|---|---|
| 購入の選択肢 | 基礎能力検査+性格検査セット | 必要な検査モジュールを組み合わせて利用 |
| 料金 | 4,000円/名 | 要問い合わせ |
| 検査時間 | 性格+基礎能力で約65分 | モジュール選択による。能力検査は15〜50分程度 |
| 公式サイト | 詳細 | 詳細 |
TG-WEBは価格を公開していません。適性検査は価格体系が複雑なものは多くありますが、非公開のサービスは限られます。
SPIはコストパフォーマンスの評判は高くないのですが、価格の透明性のぶんSPIが優位と言えます。
能力検査・性格検査とも、SPIの方が適性検査本来の概念に近いので優位と言えます。ヒューマネージTG-WEBの難点は、適性検査のフレームワークから外れるものがメインになっていることです。
ただし、いまとなってはSPIも適性検査としてもっとも優れた製品とは言い切れません。少なくともコストパフォーマンスは市場の中位程度です。
ビッグファイブの性格検査を中心に、候補製品の幅を広げて比較することを推奨します。学力テスト形式の能力検査は導入必須ではありません。